推しを巡る冒険

世界が存在するから認識できるのか。認識できるから世界が存在できるのか。

旭川にいったい何があるというんですか?

1 窓の外に目を向けると初夏の日差しが遠くにそびえる大雪山系の山々を優しく照らしていた。山頂には去りゆく季節を名残惜しむ様にまだ雪が残っていた。 僕はその北海道の美しい風景に見とれていた。 飛行機は大きく西へ旋回し、旭川空港に向かって高度を下…

備忘録「村上春樹 映画の旅」@早稲田大学演劇博物館 20230118

推しの全てを知りたいと思うのは、僕のオタクにとっての信条である。 ということで、先日、仕事を早めに切り上げて、 早稲田大学で開かれてる「村上春樹 映画の旅」に閉幕3日前に滑り込みで 観覧に向かった。 村上春樹ライブラリーの隣にある「早稲田大学演…

自由意志と「始めること」「続けること」「終えること」

「私がカントのことを100%理解でもしたら、世界が終ってしまうわ。」 大学3年の時に飲み会でたまたま隣になった哲学科の女の子が 2杯目のビールを半分流し込みながら言った。 彼女は続けて、「カントによると人間の『自由意志』とは理性によって どう正しく…

新卒8年働いた会社を辞める時、僕が語ること。 ver1.0

2013年程ぱっとしない年は思い浮かばない。 2020年幻の東京オリンピックの開催が決定され、 アベノミクスで1ドル103円となり、 第三回WBCではサインミスで内川がアウトになり 日本代表は準決勝で散った。 そんなぱっとしない2013年に新卒で某広告代理店に入…

【映画評】ラストレター/岩井俊二 失くしたものを取り戻すことはできないけど、 忘れてたものなら思い出せる

村上春樹が「人の死」に対してこう述べている 「親しい方を(中略)亡くされると、自分という存在から何かが急激にもぎ取られてしまったような気がします。なかなかそれを受け入れることができません。気持ちの中に空洞ができてしまいます。(中略)もしあな…

【書評】ナナメの夕暮れ/若林 正恭著:生きづらさの構造

将来は書斎がある家に住んで、本に囲まれて過ごすと 「裏・将来の夢」を掲げていた僕からすると、 kindleを購入したのは過去の自分への裏切り行為だったかもしれない。 自分の本棚を見るだけ、お酒が飲めるくらい紙の本が 好きだったが、元来忘れっぽい僕が…

雨だから

昨日の関東地方は8月の台風並みの風と梅雨らしい雨が降っていた。 僕は雨が好きだ。 雨の日は特別な気持ちを低気圧から運んできてくれる。 それは、匂いやセンチメンタルな感情と共に 「非日常感」を奏でてくれる。 昨日ラジオを聞いていたら「雨だから」っ…

アイドルオタクの絶望と到達点

僕はアイドルオタクだった。 もっと正確に言えば、、乃木坂46の橋本奈々未、井上小百合、桜井玲香、 paletの武田紗季、並木橋ハイスクールの小林奈々香が推しメンだった。 しかし、かつての希望や推しメンへの情熱は大西洋に浮かんでいた アトランティス大陸…

文書を書く事は救済か絶望か

「文章を書くことは自己療養の手段ではなく、自己療養へのささやかな試みにしかすぎない」村上春樹氏の『風の詩聴け』で僕の最も好きな一文の一つである。 26歳になり、得るものより、失うことの方が多くなってきたと最近感じ始めた。 今、文章書くことで…